珈琲の自家焙煎の方法をいろいろ試してみた

2019/12/25

みなさんこんにちは、宮崎ゆうです。今日も珈琲豆を自家焙煎していきましょう!

いつもは手網で焙煎するのですが、自家焙煎は手網以外でももちろんできます。というか実際には、「自家焙煎」を標榜する喫茶店の場合は大抵、巨大な電動ロースターを使って焙煎しているケースが多いです。他に小型の(といっても200gぐらいは焼けますが)焙煎器を使ったり、陶器製の焙煎器を使っているお店もあります。要するにいろんな方法があるわけです。

もちろん家庭でやる場合でも、いろんなやり方があります。今日はその中から、鉄鍋、テフロン鍋、それから燻製器を使って焙煎してみたいと思います。

それぞれのメリットデメリットもご紹介するので、自家焙煎をやってみようかなという方は是非参考にしてみてください。

ちなみに今日は焙煎方法の比較なので、珈琲豆は全て同じ、ブラジルサントスNo.2を使います。では早速やっていきましょう!

鉄フライパンで自家焙煎

じゃーん! いつも使っている鉄鍋です。平べったい。調べたところによると鉄鍋でも焙煎できるということなので、やっていきましょう。

欠点豆をせっせと選別して、豆をささっと洗って、濡れたまま鉄フライパンの上に流し込みます。

そして、振ります。

(お、重い……!)

ひたすら振っていくと、そのうち色づいてきました。ふう、疲れた……

メリット

鉄鍋を使う最大のメリットはおそらく、家庭に普通にあるという点ではないでしょうか。

だって、手網焙煎器なんて、一般家庭には中々ないですからね。あるいは本格的な焙煎器だと、普通に100万円とかするものもあります。家にある道具で焙煎を始められるというのは良いことです。

実際使ってみた感覚としては、コーヒー豆の色変化が見やすいことが、大きなメリットとしてあげられます。

手網だとどうしても網越しになってしまうので、細かい色変化を見落としがちです。据え置きのロースターとなれば、もっと見づらいものです。ちなみに電動ロースターは普通、横に穴が空いています。そこからスプーンを突っ込んで、その都度色変化を見なければなりません。

デメリット

とりあえず、重いです。鉄なので。いや、本当に重いです。

振りつづけないといけないのですが、これがかなりしんどいです。この作業を10分以上やると、確実に翌日は筋肉痛です。そして10分ではまず終わりません。

あとは、IH特有の問題なんですが、鍋を持ち上げるとその度に加熱が途切れてしまうんですよね。だから持ち上げて振るのは時々です。その時々でさえも毎回火から離れてしまうことで、焼きムラの原因になります。

じゃあどうするかというと、鍋を前後左右に揺すりながら、更にフライ返しでかき混ぜ続けます。とはいえこれでは完璧に混ぜられませんので、ものすごく焼きムラが残ってしまいます。

テイスティング

実際に飲んでみると、結構いけました。かなり浅煎りの豆だなあという印象ですが、でもこういうのあるよね、というレベルです。ムラが酷かったわりには案外美味しくいただけました。

香りは、雨が降ったあとの草木の香り。しっとりとした、それでいて青々しい雰囲気でした。なんだか多少鉄っぽさもありますが、香りは別に悪くない。

さて、飲んでみると、なんだかあっさりしていました。奥から軽い苦味がちらっと覗きます。

それから、らっきょうのような斬新な酸味が続きます。どこからきたんでしょう、らっきょう。

テフロンフライパンで自家焙煎

続きましては、こちら。

テフロン加工されたフライパン(と、鉄鍋焙煎の残骸)

テフロンのフライパン。ご家庭に普通にある鍋ランキング、たぶん1位。

料理をする時いつも、このテフロン鍋を使っています。いつも使っているので慣れてはいるのですが、焙煎は初体験。テフロンが剥がれないかヒヤヒヤしながら焙煎していきます。

メリット

鉄鍋に比べて軽い(これ重要です)

でも正直、メリットはこれくらいでしょうか。写真から分かると思うのですが、完膚なきまでの生焼けです。

デメリット

最大のデメリット。テフロンが剥がれるのが怖くて、強火にできません。結果、いつまで経っても豆が生焼けのままでした。温度を測ってみましたが、140度とかでした。普通に焙煎すると、完成時は200度は超えているはずです。生焼けというか……生?

テフロン鍋は強火は良くないそうなので。コーヒーの焙煎には向いてないかもしれませんねえ。

テイスティング

香りは、きなこ、柿の種。そんなに悪くないじゃん、と思って鼻を近づけてみると。

不気味な腐敗臭。腐ったバラの香りに近いです。あとは、他人の汗のような、どうしようもない不快な酸味。

おそるおそる飲んでみたんですが、味は……なんていうんでしょうね。

誰かの汗を薄めたような味でした。ちょっと、これは無しかもしれません。

燻製機で自家焙煎

さてさて。

大失敗したテフロン焙煎を救出すべく、明らかな生焼けの豆たちを燻製しました。

燻製器はその構造上、振ることができません。私にできることといえば、外から祈るように見つめるのみ。

というか燻された煙のせいで中の様子全然わかりません。結果、5分くらい燻したところで豆を取り出してみました。失敗の予感しかしない。

ちなみに、燻製器は思っているより熱が早く回るので、タイミングを逃すと派手に焦げます。なかなかハードモードな焙煎です。

メリット

好きな香りを付けられるのが、最大のメリットかもしれません。今回は桜チップを使いましたが、ヒノキやメープル、珍しいところだとウイスキーの香り付けに用いられるピートもあります。

デメリット

はい、焦げました。

燻製器焙煎のデメリットは、振れないこと。これに尽きます。ムラがすごいことになっています。

焼きムラはもはや、受け入れるしかありません。よく焼けた豆と浅煎りの豆を良い感じにブレンドすることで対処します。

あとは、煙のせいで中が全く見えないことも問題でした。地味なのですが、火の入り具合が全然分からないのは焙煎には重大な問題です。

テイスティング

淹れている最中から部屋中に立ち込める、強烈な煙の匂い。

コーヒーカップに鼻を近づけてみると、乾いた木が燃える臭いがします。たぶん火事現場ってこういう感じです。

ただ、溢れ出る火事場感の隙間から、桜チップの心地よい燻製香も、ほんの少しですが広がってきています。

さて。

もう、絶対美味しくないじゃん……。と思って飲んでみたのですが。

味は、思っていたほどは悪くなかったです。ウイスキーのようなピート感、ほうじ茶のような優しい味。意外なことに、すっきりしていて平坦な味わいでした。

それから、燻製によって味がギュッと凝縮するような気がします。旨味が強く感じられるので、これはこれでアリかもしれません。

さすがに香りが個性的すぎるので成功とは言えませんが、使いこなせば美味しくなるのかもしれません。

結局、焙煎方法は何が良いのか

今日は、ブラジルサントスNo.2を使って、鉄鍋焙煎、テフロンフライパン焙煎、それから燻製をやってみました。

正直なところ、どれも私の好みではありませんでした。

今更のそもそも論で申し訳ないんですが、IHはたぶん、自家焙煎には向いていません。鍋がIHから離れるたびに、加熱が止まってしまうんです。鍋が振れないというのは、それだけで致命的です。

じゃあカセットコンロでやればいいじゃないか、ということなんですが、実は一度やってみたんです。

ただ、鍋が重すぎてカセットコンロが吹っ飛びそうになったので、すぐにやめてしまいました。カセットコンロの五徳に鍋が当たる度にひやひやするので、焙煎どころの騒ぎじゃないんですね。だからといって空中で振り続けるには、鍋はあまりにも重すぎます。

3つの中で最も可能性を感じたのは燻製器でした。ただ、色々制限があるので圧倒的に難しいと思います。これを極めたら面白そうですけどね、ハードルはかなり高いです。

というわけで、結論。

自家焙煎は、手網から始めましょう。

手網はやっぱり焙煎するための道具なので、やりやすいです。

何だか身も蓋もない結論で、ごめんなさい。正直な感想です。

まあでも、味は独特でしたが、色々試せて楽しかったですよ。みなさんも自家焙煎、チャレンジしてみてください!

以上、宮崎ゆうがお送りしました。また次回をお楽しみに!

この記事の著者紹介

宮崎ゆう
宮崎ゆう
平成生まれのフリーライター、宮崎ゆうです。大学院修了後、民間企業勤務を経て独立。コーヒーと日々向き合い、コーヒーの記事を書いています。直近の目標はコーヒーを極めるためにエチオピアに行くこと。
カテゴリ:コーヒーコラム
| 投稿日:2019年12月25日 |
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