コピ・ルアク ストーリーで味わう希少で奇妙なコーヒー

2019/12/13

世の中にいろいろなコーヒーがありますが、「コピ・ルアク」ほど奇妙なコーヒーはないでしょう。

生産量が非常に少ないため、とても高価なコーヒーとしても知られています。

今回は幻のコーヒー「コピ・ルアク」の秘密を探ってみましょう。

映画にも登場

コピ・ルアク

秘密の本質に迫る前に、ちょっと寄り道を。

実は「コピ・ルアク」は、いくつかの映画の中で、印象的なコーヒーとして登場しています。

映画「かもめ食堂」では、「コピ・ルアック、コピ・ルアック」と唱えながらコーヒーを淹れる場面があります。

「コピ・ルアク」は、コーヒーをおいしく淹れるおまじない。人々の心を開くアイテムとしても使われています。

映画「最高の人生の見つけ方」でも、「コピ・ルアク」は映画の主題に関わる重要なアイテム。

富豪の愛飲する最高級コーヒーがどのように作られているかを知った途端、主人公の希望の一つが叶います。

「コピ・ルアク」は、映画のキーアイテムとして取り上げられるほど、特別感のあるコーヒーなのです。

コピ・ルアクとは

本題に戻りましょう。「コピ・ルアク」とは一体何なのでしょうか。

インドネシア語で

「コピ」はコーヒー

「ルアク」はジャコウネコ

つまり「コピ・ルアク」とは、「ジャコウネコのコーヒー」という意味になります。

ジャコウネコは、一般的なネコよりもマングースやハクビシンに近い、原始的な特徴を残すネコです。

インドネシアや東チモール、フィリピン、ベトナムなどに生息しています。

インドネシアをはじめとするジャコウネコの生息地で「コピ・ルアク」は作られ、高価な土産物として売られています。

喫茶店で一杯数千円とも言われる、世界で最も高価なコーヒー「コピ・ルアク」。

その希少性は、ジャコウネコが関わるコーヒー豆の奇妙な製造法にありました。

奇妙な製造法

コピルアクの奇妙な製造法

「コピ・ルアク」とは、なんとコーヒーの実を食べたジャコウネコのフンから取り出されるコーヒーなのです。

ジャコウネコは、赤く熟したコーヒーの実、コーヒーチェリーを食べます。コーヒーチェリー外側の柔らかい部分は消化されます。

一方、コーヒーの実の内部、パーチメントと呼ばれる固い殻で覆われたコーヒーのタネは消化されずに排泄されます。

ジャコウネコのフンから、未消化のコーヒーのタネを取り出して洗浄します。

さらに、タネの固い殻からコーヒービーン(いわゆるコーヒー豆)を取り出します。

こうして、ジャコウネコのフンから取り出されたコーヒー豆が「コピ・ルアク」となります。

野生のジャコウネコ1匹が1日で「製造」する「コピ・ルアク」は数グラム。

この希少性が、世界一高価なコーヒーとされる理由です。

フンからわざわざコーヒーを取り出した背景には、植民地時代の悲しい歴史があります。

インドネシアがオランダの植民地だった頃、農民自身は、苦労して作るコーヒーを口にすることができませんでした。

そこで、ジャコウネコのフンに残っていたコーヒーを取り出して飲んでみたら、意外なおいしさを発見したのが始まり、と伝えられています。

その味わいは

幻のコーヒー「コピ ・ルアク」は、どんな味なのでしょうか。

残念ながら私はまだ味わったことがありません。

そこで、「コピ・ルアク」を飲んだことがある人のコメントを集めてみました。

  • えも言われぬ独特の香り
  • スッキリした味
  • 忘れられない華やかな後味
  • 野生的な香り
  • 他のコーヒーと変わらない
  • 特徴はない

いろいろな感想があり、ますます謎めいてきました。

味の理由

「コピ・ルアク」の独特な味の理由ついては、次のような通説があります。

  • 野生のジャコウネコは、完熟したコーヒー豆だけを選んで食べるから
  • ジャコウネコの消化器官を通るときに、特殊な発酵プロセスを経るから

一方、アメリカ・スペシャルティコーヒー協会(SCAA)は、「コピ・ルアク」の味について「よくない」と評価したことがあります。

「コピ ・ルアク」は「特別な」コーヒーですが、必ずしも高品質なスペシャルティ・コーヒーとしての基準を満たしているわけではないからです。

たとえば野生のジャコウネコが食べるコーヒー豆は、基本的にロブスタ種です。ロブスタ種とは、缶コーヒーやインスタントコーヒーなどのために大量加工されるコーヒー。スペシャルティ・コーヒーに使われるアラビカ種とは別の種類です。

ジャコウネコが食べるコーヒーの実がロブスタ種ならば、コーヒー自体が持っている味のポテンシャルはさほど高くありません。

ところが「コピ・ルアク」が高値で売れることから、ジャコウネコを飼育し、「コピ・ルアク」を大量製造するところも出てきました。

この「養殖コピ・ルアク」の場合は、ジャコウネコにどんなエサを与えるかによって、フン、いやコーヒーの品質に差が出てきます。

実際、飼育ジャコウネコに高品質のアラビカ種のコーヒーの実を与えているところもあるようです。

さらに、「コピ・ルアク」として販売しているコーヒーの中には、ほん数パーセントの「コピ・ルアク」しか含まれていないものもあります。

また高値で売れるだけあって、ニセモノも横行しているようです。

以上のような理由から、「コピ・ルアク」を味わったという人の感想も、さまざまになっているのではないでしょうか。

ストーリーが創り出すコーヒーの味

一杯のコーヒーの味や香りは、複雑な要素によって決まります。

「ジャコウネコが食べて出す」のが「コピ・ルアク」と呼べるならば、エサにするコーヒーの実の種類や質によって、最終的なコーヒーの味は違ってきます。

一方で、「コピ・ルアク」の驚きの製造方法や、ジャコウネコが美味しい完熟コーヒーの実を選んでくれるということが、私たちの想像力や期待を刺激します。

コーヒーの味や香りは、複雑な化学反応の結果です。

同時に、人が感じる味や香りとは、コーヒーが持っているストーリーからもたらされるものがあるはずです。

「コピ・ルアク」とは、そうしたストーリーも一緒に味わうコーヒーだと思うのです。

一度は体験したい「コピ・ルアク」

「コピ・ルアク」、コーヒー好きなら一度は体験してみたいコーヒーです。

飲めばきっと自慢できる「コピ・ルアク」。

幻のコーヒーが手に入ったら、そのストーリーとともに味わってみてください。

この記事の著者紹介

さっくー
こんにちは!
さっくーと申します。松阪牛で有名な三重県松阪市の出身です。
両親の影響で小学校1年生の頃から毎日3杯のコーヒー(しかもブラック)を飲む生活を送るほどの大のコーヒー好き。

コーヒー好きが功を奏しPASSIONEプロジェクトへ参加。

ようやくサッカー以上に熱くなれるものが見つかった。。。
カテゴリ:公式サポーター投稿記事
| 投稿日:2019年12月13日 |
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