コーヒーの選び方で迷ったときに——自家焙煎で見えたコーヒー豆の特徴とは

2019/12/11

喫茶店のメニューを眺めていると、そこにはダダダダーっと国名が表示されています。エチオピア、ルワンダ、パナマ、ブラジルなどなど。

そして国名の右側には、コチャレとかバフとか、耳慣れない横文字。そう言われても、それが場所のことなのか豆の種類のことなのかよく分かりません。場所か、豆か、農園名か、それとも何らかの……何だろう? 分からないかたの方が多いのではないでしょうか。

せっかく喫茶店に入ったのだから、それぞれの豆の違いを楽しみたいところですが、無限にあるコーヒーの特徴なんて覚えていません。目の前にいる店員さんに聞けばいいのですが、何から聞けば良いのかすらよく分かりません。

そこで今回は焙煎を通して見えてきた豆の違いと、その違いに基づく珈琲豆の選び方をご紹介しましょう。喫茶店のカウンターに座って店員さんに尋ねるときには、「○○はどれくらいなんですか?」まずこれを聞いてみてはいかがでしょうか。

こう聞けば、会話の導入は完璧です。詳しい店員さんなら、きっと嬉々として色々教えてくれるでしょう。アドバイスに基づいて最高の一杯を手にすることができるかもしれません。

「○○」が何か想像もつかない方、ぜひこの記事を読んでみてください。分かったかたも読んでくださると嬉しいです。

複数の豆を比べるときは、中浅煎りがおすすめ

豆の違いを見極めるために、生豆から焙煎していきましょう。

本日焙煎する豆は、こちら!

左から、エチオピア豆、エチオピア豆、インドネシア豆です。いいですねえ、ころんっとしていて可愛らしいですねえ。コーヒーと向き合いつづけていると、珈琲豆にも表情があることが分かります。焙煎されるのを心待ちにしている笑顔が読み取れます。

今回は敢えて、エチオピアを2種類選んでみました。そのお隣にはマンデリン。一般に、エチオピア豆は酸味が強くあっさりとした味、インドネシア産マンデリンは苦味が強く、酸味は感じづらいと紹介されることが多いです。購入させていただいたワールドビーンズショップさんによれば、「苦味と濃厚なコクを持ちます」と紹介されています。

ワールドビーンズショップさんのHPはこちら。

http://www.worldbeans-shop.com

フィルターのおまけつきでした。ちょっと嬉しい。

今回は飲み比べをしたいので、焙煎度合いを揃えることにしましょう。特徴がよく出るように、狙いはハイロースト(中浅煎り)での統一です。

焙煎度合いについては、前回の記事が分かりやすいと思います。自分で言うのもなんですが、ちょっと評判が良かったので、ぜひ。笑

それでは焙煎です。まずはいつものように欠点豆を取り除いて、豆を洗って、そのまま手網に入れます。それをジャンジャン振っていきます。

いつものように躊躇なく振り続けていきます。ハイローストは珈琲豆が一通りパチパチと鳴り終わって(1ハゼが終わって)、もう少しだけ炒ったくらいの頃合いで焙煎をストップします。

豆はこういう風に変化を辿ります。最初は水分量がまだまだ多いので色は変わりづらいですが、それが8分を過ぎたあたりから一気に変化が進みます。

ちなみに皆さんにお見せするために、手網を1分ごとに開けて、1粒取り出して、という作業をしています。結果、炒りムラが如実に出てしまいました。ごめんなさい、マンデリン……

さて、こちらが完成したもの。元の生豆の色に関係なく、基本的には珈琲豆は焙煎加減によって色が決まります。良い色です、美味しそうな色ですねえ。

ただ、光の当て方の違いもあるのですが、左端のゲイシャは少し煎りすぎてしまった気がします。毎回ブレなく焙煎するのは中々難しい……

でも、美味しそうです。最初の頃のように大失敗はしなくなりました。

珈琲豆はそれぞれ、どういう特徴があるのか

早速飲みたいところですが、ここは我慢して豆を落ち着かせてあげましょう。*焙煎から少なくとも1日は待ちます。

その間に、心強い味方を召喚しました。

じゃん! ネルドリップです。ペーパーに比べて油分も抽出されやすいと言われています。コーヒー豆の成分を満遍なく愉しむために買ってみました。

まずはマンデリンから飲んでいきましょう。右上のカップがマンデリンです。

香りは重い甘さ。例えるならシロップのようにまとわりつくようなイメージ。これはネルで淹れたために取れる香りなのかもしれません。

一口飲むと、イチゴのような軽い甘さが真っ先にきます。そして爽やかな酸味も感じられます。意外なことに、苦さはほとんど感じませんでした。必死に探せば舌の奥の方で感じられるのですが、それもほとんどありませんでした。

続いて、エチオピア2つを飲み比べ。**

左側のゲイシャは、とにかく華やかです。オレンジ、パイナップルのようなトロピカル感を、ハチミツのような甘さがどっしりと支えています。酸味も程よく効いていて、これは美味しい。

対する右側のイリガチャフは、もう少し柔らかな印象です。みかんやリンゴのような香りに加えて、ブランデーのような熟成香が混じります。飲んでみるとイチゴのような甘酸っぱさが感じられます。ゲイシャに比べると酸味が強めに出ています。

自家焙煎で気付いた、コーヒー豆の違いとは

さて、焙煎から飲み比べをしてみた結果なのですが。

やはり、国ごとの括りには、ある程度の説得力がある気はします。エチオピアの2種類はもちろん違いはあるのですが、大枠でいえば同系統に括られる気がします。

一方で、浅煎りのマンデリンも、正直なところエチオピアの2品種と大きく違うかと言われると、そこまで顕著に違うわけではありません。

それでは、何がエチオピアとマンデリンを分けるのか。これは1つには、注文する私たちがイメージする「エチオピア」感と「マンデリン」感の違いではないでしょうか。それに合わせて、お店のかたも工夫してくださっていることだと思います。

要するに、煎り方次第で豆のどの特徴を引き出すかを変えることができるわけです。同じマンデリンでも、「マンデリン」らしいマンデリンか、「エチオピア」のようなマンデリンかに煎り分けることが可能なわけです。

というわけで、お店で注文するとき「焙煎度合いはどれくらいなんですか?」と聞いてみてください。詳しい店員さんだと、焙煎の加減とともに、どういう味を表現したくてその焼き具合にしたのか。理由も含めて教えてくれるはずです。(店員さんのお仕事の邪魔にならないようにご配慮をお願いします)

「焙煎度合いはどれくらいなんですか?」

その合言葉は、コーヒーを極めた店員さんから色々教えてもらうきっかけになるかもしれません。コーヒーを何となく選んでいたかたにとっては、新しい選び方が加わるかもしれません。

以上、宮崎ゆうがお送りしました。次回もお楽しみに!

* コーヒーは一般に、焙煎直後はあまり美味しくないと言われています。試しに、焙煎直後のイルガチェフを飲んでみました。

もちろん見た目は美味しそうです。味も悪くはないのですが、ざらっと感が少しあります。例えるなら、プラスチックを粉にしたらこういう味になるんだろうなあ、という。

丸1日置くと、そのざらっと感が少なくなってシルキーな舌触りに変わるので、やはり焙煎からしばらく置いておくのは大切なようです。2, 3日置いた豆が一番美味しいと言われているので、ぜひお試しください。

** エチオピアの2杯について説明しておきます。写真左側のグリーンのカップがグジで採れたゲイシャ品種、右側ブラウンのカップはイリガチャフ・コチャレで採れた豆です。ワールドビーンズショップさんによれば、品種は地場品種と表示されていました。なおイリガチャフはよく「イルガチェフェ」とも表記されています。

また、ゲイシャはパナマ産のものが特に有名ですが、もともとはエチオピア原産だと言われています。今回のゲイシャはエチオピア産でしたが、パナマ産のゲイシャと比べても遜色のない香りの高さでした。

この記事の著者紹介

宮崎ゆう
宮崎ゆう
平成生まれのフリーライター、宮崎ゆうです。大学院修了後、民間企業勤務を経て独立。コーヒーと日々向き合い、コーヒーの記事を書いています。直近の目標はコーヒーを極めるためにエチオピアに行くこと。
カテゴリ:コーヒーコラム
| 投稿日:2019年12月11日 |
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